小説を書きました いかがですか 元カテシリーズ第254作 架空ピアノ野

小説を書きました
いかがですか
元カテシリーズ第254作
架空ピアノ野郎の話
架空ピアノ野郎は東京新宿の名門高校を出て早稲田大学商学部に入った。 一応エリートコースと言えるだろう。
早稲田の政経と法学部は落ちた。
しかし、早稲田大学商学部を1990年前後に出ていたら、大手都銀はよほど面接で失敗をしなければ受け入れてくれた。
当時は大手都銀に入れば、成功者だと思われていた。
現在は大手都銀の支店の機能はスマホで代替でき、大手都銀は少数の幹部行員を除いては人を減らすように方針を転換した。
現在、50代の行員はおそらくこのまま銀行員として定年まで勤められるが、30代や40代の銀行員は転職を余儀なくされるだろうと言われている。
現在、40代半ばの架空ピアノ野郎は都銀に入らなくて幸せであった。
しかし、この間、資本会計について小賢しい口を聞いていたから、会計の知識はあるのかもしれない。
とにかく、架空ピアノ野郎は現在、貧しい生活を送りながら、音楽の仕事をしていた。
具体的にはシンセサイザーを用いて、テレビ番組の下請けから仕事をもらって音楽を制作していた。
イメージがわかない人は新日本紀行のオープニングテーマを作成した冨田勲先生や、久石譲がその名前を取ったクインシージョーンズの作成した鬼警部アイアンサイドのテーマを思い出すとよいだろう。
もとより、架空ピアノ野郎の音楽的資質は冨田勲先生やクインシージョーンズとは比べ物にならなかったが、とりあえず音楽業界でシーメー(飯のこと、音楽業界ではひっくり返して隠語で呼ぶ)を食べることはできていた。
架空ピアノ野郎は今日の午前中は五時間ほど、部屋を片付けていた。
架空ピアノ野郎の部屋はごみ屋敷に匹敵するほど汚かった。
ごきぶりたちが群れをなし、羽蟻がカーテンを無数に這っていた。
キッチンの流しにはサルマタケが生えていた。
架空ピアノ野郎はまずキンチョールを散布した。
これでごきぶりは部屋から逃げ出した。
さらに羽蟻のたかったカーテンをはずしてごみ袋に入れて、ごみ収集所に出した。
カーテンがなくなったので、新しいシーツをおろして代わりにカーテンレールに取り付けた。
こうして、着々と部屋は片付いていった。
サルマタケは生ごみの袋に入れた。
そして、臭いがもれて来ないように口を紐で縛った。
そうした紐の操作は、架空ピアノ野郎はピアノで指先を研ぎ澄ましていたのでチョロいものであった。
部屋がすっかり片付いた時、美しい30代の女が部屋をノックした。
柴咲コウに似た美しい女であった。
「お久しぶりね、架空ピアノ野郎」
女は言った。
「そだねー」
架空ピアノ野郎はわざと冗談を言った。
けれども女は笑わなかった。
架空ピアノ野郎は片付いたばかりの部屋に女を入れた。
「きれいに片付いているのね」
架空ピアノ野郎は言った。
「散らかっていると落ち着かなくてね」
架空ピアノ野郎は嘘を言った。
「私たちが結婚していたらどうなっていたかしら」
女は言った。
「きっと喧嘩ばかりしていたよ」
二人はかつて同棲していた。
女は公務員とお見舞いして結婚して、架空ピアノ野郎のもとを去った。
架空ピアノ野郎はコーヒーを女に勧めた。
女はコーヒーを飲んだ。
そして、飲み終えると言った。
「あの頃を思い出してあなたに会いたくなって来てみたの。あなたは少しも変わっていないわ」
「変わらずにいるものなんてないさ」
架空ピアノ野郎は言った。
女はやがて帰って行った。
架空ピアノ野郎はがらんとした部屋でひとり涙を流した。
おしまい
わかってください
水鏡



資本会計ね。静態論と動態論は企業の価値を財産(売却価値)とするか収益源泉要因とするかの違いね。
この辺はいくらでも話せますが止めときます。
男おいドンじゃないんだから、そういう汚いではないから。
私が参考にするのはドナルドフェイゲンのナイトフライ。
20年前に200万円のデジタルテープレコーダーの写真そのうち出すよ。
写真はソニーのスタジオ標準モニター。
◆ナイトバーズ
ラジオスターの悲劇
ジャストザツーオブアス